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これは、平成13年4月に行われた 平成12年度厚生科学研究費補助金(医療技術評価総合研究事業) 報告会の資料です。

わが国における看護実践国際分類の妥当性と普及に関する研究

主任研究者 岡谷 恵子  日本看護協会専務理事
分担研究者 佐藤重美  国立看護大学校
研究協力者:飯村直子(日本赤十字看護大学)、太田喜久子(慶応義塾大学)、数間恵子(東京大学)、松木光子(日本赤十字北海道大学)、輪湖史子(日本看護協会)、早川敦子(日本看護協会)、小山田恭子(日本看護協会)

研究目的
1. わが国で看護実践国際分類(以下ICNP®とする)の必要性と意義、活用の可能性について明確な意見を提示するため、ベータバージョンでリストアップされている用語が実際の看護実践を表現するものであるか検討する。
2. ICNP®の「看護行為」の用語は、わが国でEBNの技術として明らかになっているものを網羅しているか、また、それらを用いた「介入」の構成になっているかの妥当性を、既存の文献により検討する。
今年度は特に翻訳作業を通して用語や構造の妥当性を検討すること、また、来年度の調査に向け、調査方法を検討することを目的とした。

研究方法
1. 医療に関連する標準化のための言語体系を文献検討し、日本での活用状況、他の言語体系との関係性、翻訳の特徴等を把握する。それに基づき翻訳にあたってのルールを作成する。
2. ICNP®ベータバージョンの翻訳を行い、研究者間で翻訳および用語の妥当性を検討する。
3. 実際の看護記録の分析による翻訳語およびICNP®の構造の妥当性の検討を行う。また、質問紙調査の方法について検討する。
4. 病院内で実際に稼動している電子記録に利用されている看護データベースを調査し、ICNP®の構造の妥当性を検討する。

結果と考察
1. 国際疾病分類、国際障害分類、看護診断等の言語体系について検討を行った。また、ICNP®の翻訳に関する問題を討議する国際会議に出席し、各国の翻訳体制や明らかになった問題について情報交換を行なった。これらの結果に基づいて、翻訳にあたっては、以下のようなルールに基づくことを決定した。
1)関連する他の言語体系を相互参照するが、どのような訳語を提示するかは本研究メンバーで決定する。
2)カルテ開示を鑑み、他の医療職や患者と共有できる用語を使用していく。専門用語と一般に用いられている用語が異なる場合は両者を併記する。
2. 翻訳は米国で博士号を取得した分担研究者、ICNP®アルファバージョンの翻訳者、および海外研修経験のある研究協力者の計3名の看護職が分担して行った。翻訳の結果、ICNP®は推論による思考過程を排除した分類構造をもっており、非常に拡張性が高いこと、看護診断とは異なり、看護過程支援ではなく電子記録での活用を目指した言語体系であることがわかった。しかしながら、上位語、下位語の関係が不明であったり、各用語が完全に排他的に定義されていないなど今後のフィードバックにより更なる精錬が必要であることが明らかとなった。また、分類構造上、日本独自の言葉が排除される場合もあり、今後文化的な差異に対してどのように対応していくのかが検討課題となった。
3. 急性期、慢性期の4領域の病棟から8つの看護記録を任意で抽出し、まず経過記録、入院時情報収集用紙、看護計画、退院サマリー等看護婦が記録するすべての書類を対象に妥当性の検討を行った。この調査は対象者のプライバシーを侵害する恐れが強いことから、協力施設内でコピーを取り、その場で氏名、年齢、家族背景、職業等個人の特定につながる恐れのあるデータをマジックで消去してもらった上でデータ収集を行なった。その結果、ICNP®に収録された用語の抽象度は高く、叙述的な記録が多いわが国の看護記録の中では、ICNP®を用いて再現可能な看護記録は入院時情報収集用紙や看護計画などに限られることが明確となった。そこで再度看護計画に対象を限定して妥当性の検討を行った。その結果、ICNP®の分類になじまない日本独自の表現がかなり多くあることがわかった。ICNP®に用語の追加を要請するか、わが国の看護界に対しICNP®に収録された用語の使用を提案していくかは今後の検討課題である。軸構造はおおむね日本語の文章にも適用できることがわかったが、言語体系としてのICNP®を利用するには構成が複雑であり、配列もアルファベット順を基本としていることなどから、希望する単語の検索が困難であり、コンピューターの活用が必須であることが予想された。そこで当初、次年度は全国の看護職に質問紙による妥当性調査を行うことを計画していたが、Web上で使用できるICNP®の妥当性検討支援システムを開発し、それを使って妥当性の検討のための調査をすることとなった。
4. コンピューターを利用した看護記録を行っている4つの施設を任意で抽出し、その構造、および作成上の基本となっている言語体系を調査した。その結果4つの施設中3施設がNANDAの看護診断に基づいた看護過程支援システムを導入しており、すべての施設が「看護問題」「看護介入」「看護行為」を表現する用語集を有していた。その根拠として、NANDAやゴードンの看護診断、ICNP®、NICなど国際的な言語体系に加え、施設内で使用されている用語の標準化をはかった結果を活用していることが明らかとなった。電子カルテの導入は各施設ごとに独自の開発方法で進められており、使用言語や構造はまったく異なるためデータの互換性は現状では困難であった。今後の電子化の動きをふまえ、EBNの発展のためにも早急に言語体系の共有化がはかられる必要性を認識した。

結論
ICNP®ベータバージョンは電子カルテのための看護用語データベースとして判断すると、その構造は妥当であり、わが国においても活用できると考える。しかしながら収録された用語およびその配置基準は不明確で、今後実際に活用できるまでにはかなりの精錬を要する。
また、文化的差異から生ずる概念の違いが多々あり、今後どのように対応していくか検討を要することが明らかとなった。一方電子カルテの普及が進む中で、看護用語の体系化は早急に取り組まねばならない課題である。
ICNP®の精錬に向けて、本研究では来年度コンピューターによる検索システムを活用した用語の妥当性の検討を、広く臨床、研究の場にいる看護職を対象に行う予定である。

「ICNP®のコピーライトについて」'About the Copyright of ICNP®'
(社)日本看護協会「看護実践国際分類研究プロジェクト」
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